2008年度:第2回研究会「モノカキの仕事」

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第2回研究会は、翻訳家・ライターの実川元子さんを講師としてお迎えし、「モノカキの仕事」というテーマで講義をお願いしました。

講師:実川元子(ライター・翻訳家)
日時:2008年5月27日(火)18:00〜19:30
場所:明治大学リバティータワー9階 1098教室
参加:実川(講師)、江下(担当教員)、学生(江下ゼミ17名)

1 大学卒業からモノカキになるまでの歩み
・大卒後に入社した会社は寿退社となったが、必死に求職活動をおこない外資系企業に入社。広報部に配属され、翻訳やプレス資料の作成を担当した。
・1〜2年はすべて没にされる状態が続き、3年目にようやくOKが出るように。
・「稼げる文章」の決定的な違いに気づく。「稼げる文章」には、一目でわかるもの、立ち上ってくるものがある。ただ上手いだけではプロにはなれない。
・作業の時間は関係ない。相手に使えるものを見つけることが重要。キャッチーなものの発見にこそ時間を使うべき。
・フリーとなるに際し、消去法で考えたらモノを書く仕事しかないと自覚。共訳とムック制作の仕事が入り、なんとかスタートを切ることができた。

2 稼げる文章
・「うまい文章」よりも「いい文章」を書きたい。これは量に比例してできること。量がともなってこそ質がともなう。「いい文章」を書く人は、読む量・書く量が違う。
・語学の「量」が重要。たくさん聞いてたくさん書くこと。「好きじゃないことはしなくていい」という姿勢ではダメ。やらないとできるようにはならない。
・翻訳ができないとモノカキにはなれない。「翻訳する」というのは、自分で概念を見つけ出すこと。生きた言葉を見つけることでもある。
・空想ではなく想像・創造を働かせることが重要。とりわけ、人の話を聞く力、話を聞いて想像をめぐらす力が最も重要。
・偏見を捨てて話を聞かないと、重要なことを聞き逃す。本を読むときもおなじ姿勢が必要。

3 プロとアマの違い
・「書き終えたところから仕事が始まる」と考えるのがプロ。
・全部を無にする勇気がないといいものは書けない。
・自分視点以外の視点が重要になる。
・身近で叱咤してくれる人がいるといい。
・プロにとって無駄なものは何一つない。