2008年度:第4回研究会「メディアで仕事をするということ」

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第4回研究会は、作家・編プロ経営者の戸田覚さんを講師としてお迎えし、「メディアで仕事をするということ」というテーマで講義をお願いしました。

第4回研究会 メディアで仕事をするということ

講師:戸田覚(作家・編プロ経営者・経営コンサルタント)
日時:2008年7月1日(火)18:00〜19:30
場所:明治大学リバティータワー9階 1098教室
参加:戸田(講師)、江下(担当教員)、学生(江下ゼミ16名)

1 マスコミ業界とプロ
・マスコミは生き残るのが非常に厳しい業界。一発ヒットを出す者はいくらでもいるが、長期にわたって生き残れるのは本当のプロだけ。
・読者に読んでもらうというのは、読者の時間をもらうこと。プロは時間をドブに捨てる・捨てさせるようなことを決してしない。
・自分のやりたいことができる仕事など存在しない。やりたいとおもうことは、趣味でも十分に高いレベルでおこなえる。プロの物書きは書きたいものなど書かない。読者が読みたいと思うものを書くのがプロというもの。
・創造そのものに楽しさなどない。仕事自体を楽しいと思うプロはいない。しかし、お金や時間を費やしてまで読んでくれた人から感謝してもらえるのは、この業界でしか味わえない喜びだ。

2 自分というブランド
・自分の独自性を出そうと思って仕事をすることなどない。マスコミとは読者のために仕事をするものであって、そこに個性など必要ない。しかし、ひたすら読者のために尽くしていけば、結果としてアイデンティティやブランドらしきものができあがるもの。
・作る側がリスクを負って死力を尽くさないかぎり、高いレベルに到達することなどできない。才能の違いなどたかが知れている。プロとは、才能ではなく努力で勝負するものだ。
・読者の読みたいものを見つけるには、読者の気持ちになって考えることが必要。逆に、読者の気持ちになれないものを書くことはできない。そういうことができる分野を見つけるのが重要。

3 その他
・インターネットの登場により、プロは自分で発信できる媒体を獲得した。その結果、プロをうまく利用してきたマスメディアの必要性が薄れる。現に広告の多くがプロ個人のブログなどに移行している。それゆえ今後のマスコミ業界は非常に厳しい。
・マンガが好き・小説が好きということがマンガや小説の業界に就職するのに有利かというと、他の誰よりも好きだという事実を客観的に示すとことができれば、ある程度アピールできるかもしれない。しかし、好きかどうかよりも、マーケティング能力があることを示す方が、ビジネスとしてはより重要のはず。
・就職するというのは会社の歯車になるということ。自己実現がどうのとか自分のやりたいことがこうだというよりも、会社の歯車になって死力を尽くすとアピールする方が、採用側は採りやすい。