2013年度:問題分析ゼミ[月14]

2013年度の問題分析ゼミ月曜グループ第14回の概要です。

日時:2013年7月22日(火)16:20~21:00
会場:5・6限 明治大学リバティタワー10階1168教室
参加者:17名 江下、高橋、地域ブランディングG(5)、ソーシャルメディアG(4)、ファッションG(4)
欠席者:0名

1. テーマ発表
ソーシャルメディアグループ
基本テキスト: 『デモのメディア論──社会運動社会のゆくえ』(伊藤昌亮、筑摩書房、2012)/『インターコミュニケーション』(大向一輝、NTT出版、2007)/『フェイスブック・インパクト──つながりが変える企業戦略』(高広伯彦、宣伝会議、2011)
発表者:石原・紀井・小林
発表範囲:研究テーマ
【テーマ報告】
「東日本大震災の海水注入に関する菅直人元首相のツイートの広がりの検証」
→東京電力が海水注入中断を指示したことを「事実」、菅元首相が指示したとする情報を「デマ」と設定する。新聞では、菅元首相が指示したとする「デマ」が流れた。これを菅元首相自らがtwitterで訂正することの効果はどの程度あるのかをみる。
【指摘】
・はじめに、本テーマを選択した根拠を明確にすることが重要である。
・twitter内に「デマ」が定着しているのかを検証しなければならない。
→デマ・うわさの伝達速度=重要度×関心度であり、「デマ」が定着していない状況(関心度が低いなど)の場合、訂正してもその情報は伝わらない。
・情報の真偽を検証したい場合、なにをもって真偽を判断するのかを十分に考慮する必要がある。しかし、真偽データをとるのは、明確な指標がなく非常に困難である(本人の発言が完全に真であるとは限らない)。
 
地域ブランドグループ
基本テキスト:『地域ブランド・マネジメント 地域の持続的発展へ向けて』(電通abic project編、有斐閣、2009)
発表者:山中
発表範囲:研究テーマ
【テーマ報告】
・群馬県は、車社会となっている。県民対象のアンケートでは、この現状に不満を抱いている割合が高くなっていた。そこで、これを県民が良い方向に捉えてもらい、群馬県を「住みたいと思える県」にするためのプロモーションを提案する。
【指摘】
・「住みたい」を考えるとき、都道府県単位にすべきではない。
→同じ都道府県内でも、市町村などによって全く住環境が異なってくる。テレビ・雑誌などで紹介される「住みたいまちランキング」でも、都道府県単位で紹介はされていない。
・深くブレインストーミングをおこなう必要がある。
・群馬県の特色を1つだけでなく、他にも見出す。
→「群馬県には他県にはないものがない」と思っても、「車社会×α」によって、群馬県の独自性を出すことが可能となる。
・今までキャッチコピー提案をテーマとした発表はなかったため、扱ってみたら面白い。
→しかし、「群馬のなりたいイメージ」に適合したキャッチコピーの作成ができるかがカギとなってくる。
 
ファッショングループ
基本テキスト:『日常からの文化社会学 私らしさの神話』(河原和枝、世界思想社、2005)
発表者:竹島・柳・田辺・髙江洲
発表範囲:研究テーマ
【テーマ報告】
・「女子大生が同じ服装をしている」という仮説をたて、その実証を行う。
・都内の5つの大学を調査し、女子大生の服装は土地柄に影響されているかをみる。
 
【指摘】
・「同じ服装」であるとする基準を明確化する。
→個々のアイテムでは難しいため、コーディネートによって「同じ」であるかどうか判断していくほうがよい。
・女子大生が同じファッションとなる原因を時系列で探る必要がある。
Ex) 1970年代・・『non-no』や『anan』などの雑誌の創刊。『JJ』が流行発信。
   1980年代・・松田聖子などのアイドルが雑誌に登場。
   1990年代・・アイドルの衰退・モデルの台頭。
   2000年代・・女性のファッションが「個性を出せる」時代になる。流行の移り変わりが早くなる。
~現在・・ 読者モデルの台頭
 
2.ブックレビュー
・上杉
『ジャーナリズムの陥し穴』(田原総一郎/著、ちくま新書、2011)
→曖昧な姿勢をとりつづける日本のジャーナリズムにいま必要なことは、マスコミ自身が変わり、立場を明確にしたうえで対案を考え提示していくことである。
 
『わかりあえないことから』(平田オリザ/著、講談社現代新書、2012)
→従来の日本社会では「わかりあおう」文化をもとにコミュニケーションがなされてきたが、社会の多様化・国際化の進む現代では、「わかりあえない」ことを前提としたコミュニケーションを身につけていかなければならない。
 
・竹島
『死んだ金魚をトイレに流すな』(近藤卓/著、集英社新書、2009)
→飼っていた金魚が死んだら子供の前でトイレに流してしまう親がいる。そうした親の行動が子どもの命の重さを計る基準となる。
 
・石原
『社会科学における人間』(大塚久雄/著、ちくま新書、1977)
→社会科学での人間像は画一的なものから変化しつつある。人間を類型化することによって社会科学の理論は相対化し、より現実に近い理論を作り出すことができる。
 
・山中
『近頃の若者はなぜダメなのか~携帯世代と新村社会』(原田曜平/著、光文社新書、2010)
→現代の若者の特殊性はケータイ化であり、また彼らの人間関係には継続性が存在する。新村社会においては村人の「ネットワーク格差」が問題となった。若者のために大人たちは有機的なネットワークを構築すべきである。
 
以上
文担当:亀ヶ谷
編集:遠藤