2017年度:問題分析ゼミ[14]

2017年度の問題分析ゼミ第14回の議事録です。

日時:2017年10月10日(火)15:20〜17:00
場所:明治大学リバティタワー13階1131教室
参加者:22名

1. 個人発表
発表者:新見友梨
タイトル:メディアミックスする本屋大賞
【発表の概要】
本屋大賞の過去受賞作品のほとんどでメディアミックスが行われており、ノミネート作品にまで注目が及ぶ。芥川・直木賞は円本ブームやテレビの普及に、第34回芥川賞を受賞した石原慎太郎などをきっかけとして有名になった。マスメディアの同時体験機能は情報への伝達効率を高め、芥川・直木賞はマスメディアが発展しつつあったマスメディア環境に支えられた。また一方で芥川・直木賞の公正性や過去の選考などに対して不満が高まりつつもあった。
読者人口の減少により原作本を手に取った人の数より映像作品で作品を手軽に知ろうとする人の数が増えた。そんな中で本屋大賞受賞作品はベストセラーとなり、だからこそメディアミックスの対象となった。このことから本屋大賞は芥川・直木賞と同様にメディアの影響が強いのではないかと考え、時代背景との関連性を雑誌で調査した上で考察していく。

【先生のコメント】
・メディアミックスはどの範囲のことを指しているのか?どこまで言いたいのか?
→映像化だけに絞った方がやりやすいのでは。場合によってはコミックを対象にすることもある。
・小説がヒットしたからメディアミックスするのか、メディアミックスを想定した上で小説が書かれるのかハッキリさせる。
・売れる、という点で考えるなら直木賞だけを比較対象にしてもいいかもしれない。
・経路を慎重に考えた方がいい。本屋大賞だから映像化されるのか、本屋大賞に選ばれるほどのものだから映像化されるのか。おそらく後者ではないか。
・本だけに限らずレコード大賞なども考えてみるといい。
・映像化作品で小説原作のものがどれくらいあるのかを前提として把握しておく。

発表者:中嶌夏穂
タイトル:雑誌〇〇における下町のイメージの変遷(仮)
【発表の概要】
蔵前や清澄白河が情緒ある下町のイメージから東京のおしゃれスポットへ変化していることに着目しなぜ、どのように変化しているのか、実際に人々が抱くイメージはどのようなものかが気になった。先行研究から、下町像を作るのは住民たちだが下町に対するイメージを抱くのは観光客周囲の住民なのではないかということが考察された。また温泉地に関する先行研究を下町に入れ替えて個人研究を進めることにした。雑誌記事におけるそれぞれの下町の地名を修飾している表現からイメージを抽出し、変化を見ていくことにする。
雑誌の選定に関して『旅』という1942年創刊の国内最古の歴史を持つ総合旅行専門誌を考えている。国内最大手であり80年間継続的に発行されていることから、社会背景やニーズに大きく影響を受けていると考えられる為、イメージの経年的把握が可能となるのではないか。その他にも東京に関するタウン誌はいくつかあるため調査が必要なのと、他の情報誌から研究を行うことは可能かを今後考えていく。

【先生のコメント】
・下町の変貌をテーマにしたいのか、下町の観光地化がテーマなのかをハッキリさせる。また下町をどのように定義するかも重要である。
・居住空間と商業空間が一体になっている下町には本来観光地化する要素がないためそれは矛盾になり、研究の対象となる。
・観光スポットの変遷という視点で見てみることもいい。
・タウン特集だけでなく旅特集にも注目するといいかもしれない。
・下町の観光地化をテーマにするなら観光の対象の変化や、観光地ではなかった所がどのようにして観光地になったかを3つぐらい事例を用いて理論化してみるといい。例としては月島や横浜中華街など。
・余力があればらJJやCanCamの80年代頃の旅特集にも着目してみるといい。
・どの研究においても言えるが、出版社の出す媒体資料を参考に雑誌を探してみるといい。

以上

文章・編集担当:上杉