2018年度:問題分析ゼミ[1]

2018年度の問題分析ゼミ第1回の議事録です。

日時:2018年4月10日(火)
会場:リバティタワー13階 1131教室
参加者:22名
江下、高橋、山本G(4)、星野G(5)、中島G(6)、土屋G(5)
欠席者:2名

1. はじめに
・自己紹介
・マイノートの作成
ゼミに限らず、授業や日常生活内で気になった事柄を書き留めるためのノートを各自作成する。(※ルーズリーフ不可)

2. グループ発表
(1) 山本グループ
・発表者:山本、萩田、白取
・課題本:『映像文化の社会学』(長谷正人 著, 有斐閣, 2016)
・発表範囲:1章 2章 3章

[概要]
第1章
写真術は、復元不可能な「ダゲレオタイプ」から世界に普及し、写真と被写体との直接的・物理的関係は写真の痕跡性に支えられる写真の文化を形成した。その後複製可能なネガ・ポジ法が台頭すると。写真の大量流通は写真を「見る」ことの大衆化をもたらし、写真の文化は痕跡性と複製性を合わせもつものとなった。さらに写真術のデジタル化は写真を「撮ること」と「見られること」とを一体化させ、新たな写真文化を出現させている。
第2章
映画は科学装置として開発された。シネマトグラフ上映会によりパラダイムが「撮る」ものから「見る」ものへと変化したが、映画文化の「パーソナル化」により、今は「見る」ことに囚われなくなった。また、これまでの視覚効果によって観客を楽しませる映画、物語の主人公に感情移入させる映画がつくられる時代があったが、現在は両者をあわせ持ちながらより内面的な映画がつくられるようになった。
第3章
テレビは動く映像のテクノロジーであるが、映画とは異なる系譜であった。遠隔とのコミュニケーションを視覚的に実現する「通信」としての欲望と、一方通行の電波によって映像を送り届ける「放送」としての欲望の間で揺れ動いている。

(2) 中島グループ
・発表者:鈴木、小口
・課題本:『エジソンと映画の時代』(チャールズ・マッサー 著, 森話社, 2015)
・発表範囲:第1章

[概要]
 エジソンは2つの装置から映像を見る技術を開発した。そこから彼の映画製作が始まる。多くの人と協力し合いながら、エジソンはスタジオを建て、特許を取った。厳しい競争を闘い、映画産業のため躍進した。

(3) 土屋グループ
・発表者:土屋、太田
・課題本:『メディア技術史 デジタル社会の系譜と行方』(飯田豊 編著, 北樹出版, 2017)
・発表範囲:第1章「技術としての書物」、第2章「写真はどこにあるのか」

[概要]
第1章
書かれたことで人間の身体を離れた思考は、書物というメディアの媒介によって他者に伝えられ、印刷技術の発明は、資本の論理に後押しされて、書物によるコミュニケーションの領域を拡大した。その結果、メディアが言語など社会のコミュニケーションシステムをフォーマット化するようになり、メディアの流通を前提とした新しい知の方法とネットワークが生まれた。
第2章
写真のメディアとしての性質や人々にとって写真が持つ意味は技術の進歩により次々と変化しているが、その一方で本来の性質がなくなることはなくデジタル化による本質の揺らぎの背後では写真文化とフィルムカメラへの関心の高まりが進んでいる。

(4) 星野グループ
・発表者:宮重、温井、星野
・課題本:『音響メディア史』(谷口文和・中川克志・福田祐大 著, ナカニシヤ出版, 2015)
・発表範囲:第1章「音響メディアへのアプローチ 身近な経験を歴史的にとらえなおす」、第2章「音響メディアの起源」、第3章「録音技術と感覚の変容」

[概要]
第1章
私たちの生活において音の在り方とは、音響メディアの発展の積み重なりであり、音の経験自体にその影響が組み込まれている。日常に浸透して透明となった技術をとらえるために、その技術がメディアとなる過程を見ることが大切で、音楽文化はそのうえで重要な題材であり、音響再生産技術の最大の成果である。
第2章
世界で初めて音の記録と再生を可能とした技術を開発したのはエジソンである。しかしエジソンの発明の裏には、それまでの研究者たちの様々な発明の積み重ねがあった。
第3章
1章でも触れた『ハイファイ』という理念はどのように形成されてきたのか。音響再生産技術が初めて世に放たれた当時、その技術は人々に多大なインパクトを与えた。そこから『ハイファイ』が生まれ、今はごくごく自然にその理念に基づいて音を聴くようになっている現状に至るまでどのようなプロセスがあったのか、歴史を跡付けていく。

3. 反省
 内容が複雑であったり難しかったりと、一概に恥じらいだけが理由だとは思わないが、質疑応答があまり活発に行えなかったことが気になった。より理解を深め、有意義な質疑応答の時間が設けられるように、自分達の課題本を早めに一読したのち、他のグループの本で気になるものにも目を通すことも必要なのではないかと考えた。

作成:土屋
編集:土屋