2018年度:問題分析ゼミ[3]

2018年度の問題分析ゼミ第3回の議事録です。

日時:2018年4月24日(火)
会場:リバティタワー13階 1131教室
参加者:24名
江下、高橋、山本G(5)、星野G(6)、中島G(6)、土屋G(4)
欠席者:1名
遅刻者:1名

1.グループ発表
(1) 星野グループ
・発表者:宮重、星野、温井
・課題本:『音響メディア史』(谷口文和・中川克志・福田祐大 著、ナカニシヤ出版、2015)
・発表範囲:第7書「ラジオとレコード」、第8章「磁気テープ」、第9章「レコードという器」

[概要]
第7章
ラジオは、開発当初、電話や電信の技術を発展させた延長線上にあるもので、電話の無線版と思われていた。ラジオの普及につれて音楽家や演奏家との対立生じた。また、アメリカに多くのラジオ局が設置されたが人種差別によって音楽が分断された。それをラジオの司会だったDJがリスナーに親近感を湧かせることで、差別緩和に繋がった。

第8章
磁気録音は開発当初から既存の蓄音機の性能を凌駕した。さらに今までの蓄音機になかった録音の機能を復活させ、新しい録音の形態を確立していった。こうした新たな録音は独創的な音楽が生まれる契機となった。

第9章
人は音楽をレコードという「モノ」として扱うようになった。例えばレコードのジャケ買いやコレクターによる稀少版レコードの蒐集などが取り上げられるだろう。そこからレコードは曲の長さ、ハイファイ思考に合わせてレコードのそのものの形であったり音質を変化させていった。

(2) 土屋グループ
・発表者:土屋
・課題本:『メディア技術史 デジタル社会の系譜と行方』(飯田豊 編著、北樹出版、
2017)
・発表範囲:第6章「テレビジョンの初期衝動」

[概要]
第6章
遠くの出来事を居ながらにして見聞きしたという古くからの人間欲望は、電信や写真の技術を応用することによって、テレビジョンの原型を作るに至った。日本において、ブラウン管を利用したテレビジョンの開発がすすめられ、博覧会や展覧会などの目玉として公開実験されるようになった。国際情勢が厳しくなる中、テレビジョンは監視の役割を帯びた技術として想定され、さらには軍事利用されるに至る。戦後、国内においてはテレビ局による戦争から大衆化してゆき、世界的にはメガ論争や規格の標準化に関する競争が激化していった。

(3) 中島グループ
・発表者:中嶋
・課題本:『エジソンと映画の時代』(チャールズ・まっさー 著、森話社、2015)
・発表範囲:第3章 「古典期以前のアメリカ映画」

[概要]
第3章
フォノグラフは、初めから音楽のための装置として概念化されていたわけではなく、産業化の波にのるなかで、人間の声を記録するための装置として用いられてもいた。発明品は、当の社会を支えている様々な制度や文化的実践、並びに既存のテクノロジーとの関係のさなかで、役割をゆっくりと定めていく。

(4)山本グループ
・発表者:萩田、白鳥、清水
・課題本:『映像文化の社会学』(長谷正人 著、有斐闍、 2016)
・発表者:第7章「社会を作る映像文化1」、第8章「社会を作る映像文化2」、
第9章「医療における映像文化」

[概要]
第7章
写真は、その叙述的な力によって超国家主義的な社会秩序を作ったり、映画はテクノロジーの魔術的な力で社会秩序を美しいものとして作り上げたり、テレビは生活空間の中での遠近感を倒錯させたなど、映像文化は多くの人に共有されることで「しゃかい」を形作ってきた。またカメラの日常的普及は、パーソナルな映像文化を見ることで公的に共有するという逆説的な事態をもたらした。

第8章
一枚の写真「硫黄島の星条旗」が流通するプロセス・またそれに伴って生じた数々の出来事(①歴史的な瞬間の記録②戦時国家とナショナル・シンボル③消費国家とポップ・カルチャー④ポスト911の「硫黄島の星条旗」)を通じて、映像と社会の関係を考える。

第9章
①近代以前と近代における診断術
②医療技術と3つのテクノロジー
③医療技術のスペクタクル化

2. まとめ
週を重ねるごとに全体的に発表の質も高くなってきており、また質問する人が増得たことで、議論が活発化してきている印象がある。

作成:鯉淵、田中
編集:土屋