info:2019年度問題分析ゼミの概要

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11月9日(金)・13日(火)の個別ガイダンスでは説明しきれないこともありますので、概要を紹介しておきます。ゼミ・シラバスとあわせて参考にしてください。

ゼミの目標は「30歳に向けた土台づくり」です。

卒業後、ほとんどの学生は(遅かれ早かれ)なんらかの職に就くと思います。どのようなキャリアを歩むにせよ、若いうちは「パシリ」です。まとまったプロジェクトをまかされ、自分で予算を管理し、人を使って仕事をするようになるのは、30歳前後になったときでしょう。そのときまでに土台をしっかり築いておかないと、満足な仕事はできません。もちろん、仕事のよろこびも達成感もえられません。

社会人の多くは、30歳前後になると「学生時代にもっと勉強しておけばよかった」と悔やみます。社会人になってから学ぶべきことは学生時代よりもはるかに多いからです。それは当然のことで、学費を払って授業を受ける学生と違い、社会人は仕事を通じてお金をもらう立場になります。周囲からの要求水準は高いし、しかも自己投資をしなければなりません。ああ、学生のうちに土台をつくっておけば......となるわけです。

「30歳に向けた土台づくり」のなかでも当ゼミではリサーチの実務を重視したいと考えます。資料をきちんと調べ、データを整理し、基礎文献などを通じて学んだ原理や法則を用い、さまざまな情報を関連づける。そして「現場」の観察を通じ、身近な現象からさまざまな「徴候」を読み取り、分析をもとにして提案に結びつける。仕事をするうえで、ごくあたりまえのことを地道に積み重ねようと考えています。

たいせつなことは、リサーチを通じ、ぐぐっても出てこないようなオリジナルの情報を一つでも獲得することです。ネットで簡単に検索できてしまう程度の情報に、たいした付加価値はありません。本に載っていることも、すでに「周知」の事柄が大半です。もちろんネットや本などで公開された情報をもとに知識を蓄えることは重要で、日頃から多くの情報源に接することは当然の前提です。その上で、「ぐぐっても出てこない」オリジナルの情報を得ることが必要になってくるのです。

なお、リサーチの重要さについては、以前、twitterでつぶやいた内容を、ゼミ生の一人がまとめてくれました。そちらをぜひ参考にしてください。

http://togetter.com/li/196804

2016・2017年度、当ゼミではユース・サブカルチャーズとメディアの関係を題材に演習を進めてきました。なかでもメディアとしての雑誌の機能に注目し、「雑誌を研究する」「雑誌で研究する」ことを目指してきました。2018年度はこの方向性をさらに拡張し、メディア史にもとづく情報環境の〈いま・ここ〉の研究を進めていきたいと考えました。2019年度も、引き続きそのテーマを進めていきたいと考えています。

かつての当ゼミでは、かなり幅広いテーマから題材を集めてリサーチの実務を進めておりましたが、2016年度以降は、メディア史というテーマにこだわりをもった活動をするようにしています。「メディア史を通じて何を理解したいのか?」という問を、みなさんのなかでよくよく自問してみてください。

これから世の中で人びとはどのようなメディアをどのような用途で用いるのか、そのためのツールは何か。こうしたテーマは情コミ学生の多くが関心を抱いていることでしょう。世の中の変化を読み取るとはすなわち〈これから・どこ〉を考察することですが、そのためには〈いま・ここ〉を構造的に理解する必要があります。それは「いま」を知るだけでは見えず、「ここ」を見るだけではわかりません。〈いま、ここ〉の理解には、「いま」に至るまでの多様な流れ、「ここ」を取り巻く他の要因との関連性を分析することが不可欠なのです。

たとえばLINEのコミュニケーションを眺めるだけではその特徴は見えてこないのです。LINEのなかった時代、スマホのなかった時代に学生たちはどのようなコミュニケーションをおこなっていたのか。LINEのスタンプに相当する現象は何だったのか。こうした考察の積み重ねを経てはじめてLINEの位置づけが見えてくるのです。その点、メディア史をきちんと勉強するということは、情報環境の〈いま・ここ〉を理解するための土台です。ゼミ活動を通じ、土台づくりを実践していきたいと考えています。

学生がリサーチの実務を学ぶうえで、これが最も取り組みやすく、かつ情コミ学生として状況を十分に把握すべきテーマであると考えました。このようなことに関心を持ち、自分の身近な出来事をリサーチし、自分なりの発見をしてみたいと思う学生を歓迎します。

かなり欲張った目標を掲げるゼミですので、日ごろの活動は相当ハードです。3年ゼミに関しては、5科目分ぐらいの負担があると思ってください。どのぐらいハードなのかは、このサイトで公開している活動記録を読めばわかると思います。回によっては5時間以上も演習をおこなう日があるくらいです。したがって、当然、向き不向きがありますので、ゼミ活動に対する自分の考えとあうかどうかを、十分に検討しておいてください。

このようなハードな内容にするのには、二つの理由があります。
第一に、情コミ学生の多くは3年生になると学習モチベーションが上がります。キャンパスが変わって気分が一新される。それ以上に、1・2年生のうちは高校の延長のような科目が多かったのに対し、3年になるといよいよ専門科目が中心になることが大きいように思います。基礎教育科目はもちろん重要ですが、やはり専門科目に接することが、大学生の「気分」をもたらすことも事実でしょう。モチベーションが高いうちに、がんがん鍛えた方が効果的に決まっています。ですから、3年ゼミでは欲張れるだけ欲張ろうと考えているわけです。

第二に、就活の問題があります。4年生の前期は否応なく学生は就活に時間を取られてしまいます。そういう状態ではゼミ活動をスムーズに進められません。ならば、その分を3年生のうちにやっておいたほうが合理的でしょう。それは同時に、就活前に自分の強みや関心を再確認することにもつながります。要するに当ゼミは、本来なら2年間かけてやるべきことを、3年生のうちにやってしまおうとしているわけです。ちなみに、4年ゼミは学生の自主的活動の時間としております。

以上が当ゼミの基本的な考え方です。自分の「ひきだし」を増やすキッカケにしたい人は、ぜひ挑戦してください。こだわりを持ってなにかに打ち込むことが好きな人は大歓迎です。

ゼミの日常的な活動は、ほとんどがグループワークです。そのため、当ゼミではいろいろなタイプの学生に集まってもらいたいと考えております。リーダーシップのある学生も歓迎しますが、全員がリーダーである必要はありません。聞き上手な人、裏方仕事が苦でない人、渉外が得意な人、いろいろなキャラクターで形成されたチームを編成したいと考えています。実際、コミュニケーションが苦手なメンバーが加わることで、むしろ全体の結束力が高まることがあります。当ゼミの活動で重要なことは、「お互いに長所を活かしながら、メディア史の弁業をしたい」という「あなた」自身の意欲です。

ゼミ活動を進めるにあたり、かならず了解しておいてほしいことがあります。

1)facebookまたはLINEを連絡用プラットフォームに用いることを了解しておく。
2)ゼミの終了が21時過ぎになっても問題がない。
3)夏のゼミ合宿にかならず参加する。

ゼミ合宿は、長野県の原村で実施します。2019年度は8月26〜29日(月〜木)の3泊4日を予定しています。当ゼミの夏合宿はインカレ形式のメディア研究会(2018年度は5大学から98名が参加)であり、ゼミ活動の重要な要素となっています。夏休みには、部・サークルの合宿や企業のインターンシップなど、さまざまなイベントが実施されますが、当ゼミに入室する者は、ゼミ合宿を最優先することが求められます。

以上