2019年度:問題分析ゼミ[1]

2019年度の問題分析ゼミ第1回の議事録です。

日時:2019年4月23日(火) 15:20~19:00
会場:明治大学リバティタワー16階 1168教室
参加者:17名
江下、高橋、齋藤G(5名)、佐藤G(5名)、高野G(5名)
欠席者:0名

1 グループ発表
(1) 齋藤グループ
・発表者:颯田、寺岡
・課題本:『うわさとは何か』(松田美佐 著、中公新書、2014)
・発表範囲:第1章、第2章

[概要]
第1章
うわさとは曖昧なものである。人の心に植え付けられた情報が、間違っていると認識されると「うわさ」になるのである。うわさにはゴシップや風評、都市伝説などのように様々な名前がある。社会の状況に合わせて生まれ、不安が大きいほど、そして命に関わるほどうわさの力は強くなる。
うわさの真実を確かめないで鵜呑みにするのは良くないが、デマと決めつけることも良くない。目の前にあることをじっくりと考えることが大切なのである。

第2章
うわさには2つの特徴がある。
1つ目は、うわさは変化していくという事だ。伝言ゲームのように、伝わっていく過程で事実からかけ離れていく。一方でどんどん正しい情報になっていくこともある。
2つ目は、自分が意識していない不安や特徴を浮き彫りにしていくという点である。
また、うわさはマスメディアとは対極にある情報だと言える。マスメディアの情報は一方通行であるのに対し、うわさは様々な人が様々な方向に伝えるコミュニケーションである。

(2) 高野グループ
・発表者:小武
・課題本:『現代メディア・イベント論』(飯田豊 著、勁草書房、2017)
・発表範囲:第1章 ネット社会におけるメディア・イベントの研究の地平

[概要]
メディアは恒常的なものから短命的なものまでと複合化している。そして、情報メディア環境が多重化しているためメディア・イベントの概念の再構築が必要となっているのである。
また、メディアからの権力的作用と受け手の抵抗という二項対立からの研究だけでなく、受け手に重きを置いたメディア・イベントの重層的な構成の議論も進めていく必要がある。このようなメディア・イベント研究においては、受け手のアイデンティティ形成の複雑さを単純化せずに捉えることが重要である。

(3) 佐藤グループ
・発表者:金武
・課題本:『創刊の社会史』(難波功士 著、ちくま新書、2009)
・発表範囲:はじめに、第1章、第2章

[概要]
はじめに
雑誌は広告をコンテンツとして扱う定期刊行物として始まった。その後、雑誌の読者の平均寿命が短いことに対し多くの出版社は多産によって対抗し、雑誌市場が細分化され多くの創刊号が発売された。

第1章
はじめは作り手の思想と感性を総動員していた平凡出版は、その後、オリジナリティが溢れる雑誌は受け入れられにくくなっていった事に伴い、「分析的な仕事」が重宝されるようになる。『平凡パンチ女性版』の流れで誕生した『an・an』は中堅どころの女性誌として定着していき、「アンノン族」と呼ばれる人々も出現した。

第3章
広告主が同じターゲット対象の雑誌に幅広く出稿した事により、雑誌の群化現象が起こる。複数の類似誌が互いに競争し合う中で、一部の雑誌は部数を伸ばしていった。

2 反省
 本を読み進めていく上で、先まで読まないと分かりづらい部分も出てくるため、発表範囲より先の範囲も読み進めておくことが望ましい。


作成:大倉
編集:高野