2019年度:問題分析ゼミ[20]

2019年度問題分析ゼミ第20回の議事録です。

日時:2019年11月19日(火曜日) 15:20-19:00
会場:明治大学駿河台キャンパスリバティータワー16階 1168教室
参加者:20名
江下、高橋、齋藤G (4名)、佐藤G (4名)、高野G (5名)、4年G1(5 名)、4年生G2(6名)
欠席者:2名
遅刻者:0名

1 4年生によるJJ論文中間発表
(1)『twitterでの発言の変容』
[概要]
特定個人のツイートに注目するのではなく、調査期間中の大人数のツイートに着目し調査を行 う。ピックアップされたツイートから当てはまる要素を抽出しグループ分けを行う。一次発信者と 二次以降の発信者の情報発信の性質の差も考慮し調査。
マスメディアから一次発信のツイートへの影響が大きいと仮定していたが、ニュースの情報源をインターネットに頼り切っている利用者も見られ、情報源は一元的でないと思われる。調査で扱ったツイートは個々に影響力が異なり、フォロワー数の差やフォローしているアカウン トの性質がツイートの内容に影響し同様に二次以降の発信にも影響を与えている。

(2)『るるぶを巻頭特集における経年変化と国内観光旅行の動向の関連性』
(概要) 旅行情報誌を調査することで国内旅行の流行や志向性の変化が見られると考える。
旅行のトレンドは「安・近・短」から「安・遠・短」に変化。その背景には経済的な変化の影響 が大きい。
インターネットでの情報とは異なり細かな取材に基づいた情報が掲載されている点であり、情 報源として差別化がされている。また、号を通じてターゲットが男性から女性にシフトし、雑誌 の機能も単なる情報提供から旅行という「ストーリー」を提供することへと変化した。加えて、 交通機関の発達が旅行先での滞在時間を長引かせたことで、時間の使い方などの内容も大きく変 化している。

2 グループ発表
(1)齋藤グループ
発表者:寺岡、植田
発表テーマ:ポケベル
[概要]
ポケベルの正式名称はペーシングサービスという。固定電話と違い、外出先でも人々とやりとりができるという点で需要が高かった。携帯電話の普及によりポケベルは終焉を迎えたが、ポケ ベルの普及は「いつでもどこでも人々とつながることができる」という価値をもたらした。
NHKによる調査によると都市化により個人が日常的に接触する人数が増加した結果、反動とし て「選択的人間関係」を志向する人が増えている傾向が見られる。そしてポケベルはそのニーズに 応えていた。
ポケベルは個人が連絡先を交換することで人間関係を選択することができ、対面が不可能な状 況でも連絡が取れる特性が関係の構築を加速させた。また、自分の都合に合わせて連絡を取る、 中断することが可能であり、個人が好きな相手と好きなようにコミュニケーションをできる点で 「選択的人間関係」とともにポケベルは普及した。
ポケベル利用は直接の人間関係を希薄にするという指摘に反し、ポケベル利用者ほど社交性が 高いことも確認されたことで対面のコミュニケーションを手助けするツールとして機能していた。
96年以降ポケベルの契約数は減少。携帯電話やPHSの普及による代替が主原因であると考えら れる。ポケベルと携帯電話・PHS間の通信が不可能であることから、携帯電話・PHSの普及はさ らに普及を後押しし、他方でポケベルの契約解除を加速させた。

(2)齋藤グループ
発表者:齋藤、颯田
発表テーマ:テレックスの普及とその利用
[概要]
淘汰された通信技術の一つの形としてのテレックス通信の利便性、特性を書籍および資料から 分析し、衰退に至った経緯を考察する。
テレックス(加入電信)は1933年に開発された、テレタイプ端末を用いた国際・国内通信技術 であり、それ以前の通信技術と比べ正確性、即時性、記録性、経済性において優れていた。
料金体系から利用者はタイピングの技術、英語の語学力、そして利用者間でのみ通じる独自の略 語に関する知識が必要であった。
物流、諸取引、ニュース配信、気象通報、投資情報などのやり取りに多く利用されたが、他方 で図書館での貸借業務において世界的に利用されたことが特筆すべき点である。

しかし、通信料金が高額だったため個人所有は難しく一般には普及せず、また、英語の語学力 がベースだったため日本国内での流行は起こらなかった。さらに、電話の進化やファクシミリ通 信、インターネットメールの登場で世代交代が起こり、日本では2000年代前半にサービスを停止 したと考えられる。

(3)佐藤グループ
発表者:金武、大倉
発表テーマ:プリクラ
[概要]
プリクラの歴史を、書籍およびインターネットを利用して紐解き、そこからプリクラの在り方を 再考察する。
1995年7月にアトラス社が発売した「プリント倶楽部」の登場、その後メディアに取り上げられるなどしたことで90年代後半にプリクラが爆発的に人気になるが、1997年の売り上げ1000億円 の売り上げをピークに徐々に衰退していく。業界は落書き機能や「写り」の質を追求など、プリク ラに独特な機能を導入し利用者人口の回復を図るが、プリクラ業界縮小傾向に歯止めはかからなかった。
また、2009年にアトラス社が業界から撤退したのち、シェアの約9割を握ったフリュー社によると、2010年から2015年までの販売台数は増加し続けている一方、総プレイ回数は2013年以降 減少傾向にあることがわかった。
利用人口の減少の要因として、カメラ付き携帯電話の普及とスマートフォン上でのカメラアプリ ケーションの増加が大きく影響していると考えられる。2013年にスマートフォン所有率が50%を 越えたことで、多くの利用者は固定された筐体を使い利用ごとに料金が発生するプリクラから時 空間に縛られず「無料」でプリクラ同様の写真撮影が可能なスマートフォンのカメラアプリケー ションの利用者数が増えたために、対してプリクラの利用者人口が減少したと考えられる。
現在メーカー各社は女子高生の以外をターゲットとした「大人のためのプリクラ」等を開発することで利用者の増加を画策している。

(4)高野グループ
発表者:田村
発表テーマ:ダイヤルQ2
[概要]
ダイヤルQ2といを書籍および資料から調査し考察を行う。
ダイヤルQ2は日本電信電話株式会社による電話機を利用した情報提供サービスであり、0990か ら始まる電話番号で利用者が単位時間毎に料金を支払う形で情報提供を受けられるという仕組み だった。情報提供者側には階級付けが行われ、階級毎に料金が異なっていた。20代男性の利用者が多く、ツーショットと呼ばれる有料の電話デートサービスも流行した。成人向けサービスの 増加を受け、1991年2月に番組に対する倫理協会が設置された。
パーティーラインと呼ばれる混線電話サービスは社会現象となり、長時間利用したことによる 高額料金請求などが問題化した。また、倫理協会はアダルト番組を提供する電話番号を09903から 始まる番号に限定し、それ以外の番組のイメージ向上・保持に努めた。
1990年代後半にはインターネットが台頭し、利用者が減少したことでサービスは衰退していった。

3 反省
発表グループが多く、タイムマネジメントが困難であった。

作成:齋藤
編集:高野