2021年度:問題分析ゼミ[9]

2021年度問題分析ゼミ第9回の議事録です。

日時:2021年6月15日(火)15:20-18:20
会場:教室・zoom
参加者:zoom 9人、教室10人
欠席者:1名
遅刻者:0名

1 連絡事項
来週以降のゼミは基本的に教室で実施
レベル1のままであればゼミ合宿は予定通り開催の見込み

2 グループ発表
(1)摂待グループ
・発表者:正木、山岸
・課題本:テレビ・コマーシャルの考古学
・発表範囲:7、8章

[概要]
7章
「若者」が出現した昭和30年代以降、若者のテレビ需要が上昇し若者向けのCMが増加した。また、海外のユースマーケットによる影響を受けてより一層CMに若者が押し出されていった。

8章
海外・沖縄向けに製作されたCMを国内向けに制作されたCMを比較する。キッコーマン醤油の海外向けCMでは昔話のアニメーションの多用やアメリカ産の原材料を強調したナレーションによって外国と日本の表象を融合させグローバルなイメージを与える手法を用いた。また、日立・東芝では海外の富裕層をターゲットとし西洋的生活という憧れのグローバル・スタンダードで日本を表象する手法、第一工業製薬の洗剤では本土版と沖縄版でナレーションやシーンを変え、表現をきめ細かにローカライズする手法を用いた。                                         

(2)金内グループ
・発表者:鈴木(彩)
・課題本:広告で社会学
・発表範囲:13〜15章

[概要]
13章
現在日本では知識集約型産業が東京に集中しており、都市において高層化、富裕化する人々との繋がりは多様化しつつある。一方で、地域コミュニティの衰退は社会関係資本の減少に大きく影響する。都市、地方、地元などさまざまな枠組みによって人々のアイデンティティは多層化し、進展する。

14章
すべての地域や国が繋がっている現代で、さまざまな形でグローバリゼーションは進み、その背景もより複雑となっている。例えば、人種とエスニシティという語の区別は流動的であり、エスニシティとナショナリティという語の関係もまた複雑である。また、大学のランキングの例に表されるように、グローバルなものはある社会的な条件の中での構築物である。

15章
国家ないし国民とは、ある目的によって人々が集まったアソシエーションないしゲゼルシャフトであり、地縁にもとづくコミュニティないしゲマインシャフトである。国家は政治の担い手であるわけだが、時に戦争の主体となる。戦争の在り方は大きく変化し、国民国家をベースとした「旧い戦争」に対し民族紛争や無差別テロなどのアイデンティティに基づく権力の主張を目的とした「新しい戦争」が優越してきた。また、現代では、地域や国家だけにとどめずに、国境をこえた公共圏を模索する議論が行われ、「共生圏」としての世界が求められる。

(3)伊藤グループ
・発表者:一山
・課題本:「アイドル」のメディア史
・発表範囲:1章、2章

[概要]
1章
日本における「アイドル」については、国外においても多様な議論が展開されているが、日本のマス・メディアをめぐる体型的な研究蓄積がないとの指摘もあり、本書ではそんなマス・メディアの一つである明星に着目する。映画からテレビへというメディア環境の変容により、「アイドル」は同世代的な感覚で若者たちの文化と結びついて隆盛を極めていく。「アイドル」には「スター」とは異なり「ふつうであること」が求められた

2章
1970年代までには、雑誌においてもテレビにおいても若者をターゲットとした新たなメディアが生まれていた。例えば、歌番組やオーディション番組などである。また、そのようなメディアによって「アイドル・ポップス」が生み出された。雑誌においては、『明星』が「アイドル」と読者をより身近な関係へとつなぐ役割を果たし、それによって『明星』は若者から人気を集める雑誌へと飛躍した。

(4)田中グループ
・発表者:儘田
・課題本:「平凡」の時代
・発表範囲:1章

[概要]
『平凡』では流行の歌と映画をテーマにしており、メディアと結びつくことで大衆から多くの支持を集めた。また、読者層としては働く若者が主であった『平凡』に対して、大学生のような知識人は『キング』を好んで読んでいた。日本の過渡期であったと言える1950年代において、テレビが普及する以前に支持を集めていたこと、大規模な人口移動が起こる前に発行部数を伸ばしていたことなどの特色があった。「平凡友の会」なるものが発足していたこと、文通運動が起こっていたことから当時の若者を大きく動かす力を持っていたと言える。

作成:鈴木(萌)
編集:田中