info:2026年度問題分析ゼミ(江下ゼミ17期)の概要

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個別ガイダンスやガイダンス動画では説明しきれないこともありますので、概要を紹介しておきます。ゼミ・シラバスとあわせて参考にしてください。なお、概要といってもわりと長文です......

江下のX(旧twitter)アカウントやゼミのInstagramアカウントもあります。質問があれば気軽に尋ねてみてください。

ゼミの目標は「30歳に向けた土台づくり」です。

社会人の多くは30歳前後になると「学生時代にもっと勉強しておけばよかった」と悔やみます。そして、社会人になってから「学生時代にもっと勉強を」と思うことのほとんどは一般教養と基礎的な専門知識に属するものです。物事を考えるための基礎力の不足を痛感するからです。

当ゼミではリサーチの実務を重視します。何を数値データかすべきを考え、面倒なことでもデータ化し、調べるべき資料を調べ、基本文献や論文を通じて学んだ原理や法則を用い、さまざまな情報を関連づける。「現場」の観察を通じ、身近な現象からさまざまな「徴候」をデータ化し、分析をもとにして提案に結びつける。リサーチをするうえで、ごくあたりまえのことを地道に積み重ねようと考えています。

2025年度の重点分野は今年度とおなじく「メディアをデータサイエンスする」です。

「データサイエンスする」とは、分析ツールを使ってデータを作成し、かつ処理することを通じ、日常的な「発見」「気づき」を言語化することです。メディアを理解するには、メディアがどう使われているのかを把握しなければなりません。ご存じのとおり、時代はすでにネットとスマホが主役です。音楽の流行はCDの売れ行きではわかりません。SpotifyやYouTubeでの再生回数や「いいね」の数、SNSでのトレンドの方がむしろ流行の現在形を伝えてくれます。

我々がネットを利用すると、その「痕跡」がネットに残ります。それが蓄積されてビッグデータとなります。そして多くのビッグデータは一定の手続きを踏まえればアクセスでき、データ解析ができるのです。どのような解析が実際にできるのかを知りたい人は、「こちら徒然研究室(仮称)」というサイトを見てみてください。ここは広告代理店でリサーチの仕事をしている江下の知人が個人的に運営しているサイトです。

メディアで起きている現象を理解するには、もはやデータサイエンスは不可欠なツールとなりつつあります。もちろん、ツールは数字を出してくれるだけですので、その意味を解釈するにはメディアや消費行動の基礎的な理論を知っておく必要があります。当ゼミでは、従来の基礎理論を習得に加え、変化や徴候を数字で説明するためにデータサイエンスの手法を身につけるようにしたいと思います。これが「データサイエンスする」の意味です。

では、データサイエンスの手法とは? それはプログラミングを学ぶこととイコールではありません。たしかにPythonという言語を習得できれば非常に強力な手段を身につけたことになります。Python自体は比較的学びやすい言語です。しかし、Pythonはツールにすぎません。重要なことは、問題解決の際に、どういう数値データを作る必要があるかを考えることです。そして、出てきたデータをちゃんと解釈できることです。データの解釈はプログラミングでは学べません。みなさんは、なぜプログラミングを学ぶことが難しいと思いますか? ひとつの答えは、プログラミングを日常的に使わないからです。座学で覚えただけでは身につきません。使い続けてはじめて身につくのです。

データサイエンスのツールもおなじです。理論やツールの使い方を覚えたところで、使わなければ忘れてしまいます。だからこそ、本当に重要なのはリサーチをし続けることなのです。データサイエンスは手段にすぎません。だからこそ当ゼミはリサーチの実践がメインなのであって、データサイエンスはそのための手法という位置づけであることを強調しています。

3年生になれば否応なく就活を意識することでしょう。インターンシップに振り回されることになるかもしれません。しかし、就活で最も重要なことは、リサーチを通じ、ぐぐっても出てこないオリジナルの知識を一つでも獲得することです。これこそが「自分らしさ」「自分の強み」となるのです。生成AIへの質問やネットで簡単に掘り出せてしまう程度の知見に、たいした付加価値はありません。本に載っていることも、すでに「周知」の事柄が大半です。

もちろん公開された情報をもとに知識を蓄えることは重要ですが、その上で、「ぐぐっても出てこない」オリジナルの知識を得ることが必要なのです。そのためには非常に泥くさく、そして「回り道」をさすらうようにして積み重ねる作業が不可欠なのです。

なお、リサーチの重要さについては、以前、twitterでつぶやいた内容を、ゼミ生の一人がまとめてくれました。そちらをぜひ参考にしてください。

当ゼミでは、データサイエンスのツールを駆使したリサーチの実務習得を目指します。自分の身近な出来事をリサーチし、自分なりの発見をしてみたいと思う学生を歓迎します。

欲張った目標を掲げるゼミですので、日ごろの活動はハードです。3年ゼミに関しては、4科目分ぐらいの負担があると思ってください。どのぐらいハードなのかは、このサイトで公開している活動記録を読めばわかると思います。無駄に時間をついやすつもりは毛頭ありませんが、ある程度の量をこなすには、どうしても相応の時間が必要なのです。当然、向き不向きがありますので、ゼミ活動に対する自分のニーズと適合するかどうかを十分に検討してください。

ハードな内容にするのには二つの理由があります。
第一に、情コミ学生の多くは3年生になると学習モチベーションが上がります。1・2年生のうちは高校の延長のような科目が多かったのに対し、3年になって多くの専門科目に接することで視点が一気に広がるはずです。そうした感覚が新鮮なうちに、がんがん鍛えた方が効果的に決まっています。

第二に、就活の問題があります。3年生の夏休みはインターンシップに、4年生の春学期は否応なく学生は就活に時間を取られてしまいます。そういうことを前提にしたゼミ活動を進めねばなりません。ならば、その分を3年生、とりわけ春学期のうちにやっておいたほうが合理的でしょう。それは同時に、就活前に自分の強みや関心を再確認することにもつながります。

以上が当ゼミの基本的な考え方です。データサイエンスということの実践を学んでメディアの基礎をしっかりと理解したい、リサーチ実務を習得することを通じて自分の「ひきだし」を増やしたい人は、ぜひ挑戦してください。こだわりを持ってなにかに打ち込むことが好きな人は大歓迎です。

ゼミの日常的な活動はほとんどがグループワークです。そのため、当ゼミではいろいろなタイプの学生に集まってもらいたいと考えております。リーダーシップのある学生も歓迎しますが、全員がリーダーである必要はありません。聞き上手な人、裏方仕事が苦でない人、渉外が得意な人、いろいろなキャラクターで形成されたチームを編成したいと考えています。実際、コミュニケーションが苦手なメンバーが加わることで、むしろ全体の結束力が高まることがあります。当ゼミの活動で重要なことは、「お互いに長所を活かしながら、メディアとデータサイエンスの勉強をしたい」という「あなた」自身の意欲です。

ゼミ活動を進めるにあたり、かならず了解しておいてほしいことがあります。

1)Slack を連絡用プラットフォームに用いる。
2)場合によってはゼミの終了が20時過ぎになっても問題がない。
3)夏のゼミ合宿(メディア研究インカレ原村2026)が実施されるときは参加する。

ただし、部活の都合により、たとえば月に一度は4限終了後に帰らねばならない、というようなケースにも柔軟に対応しております。不都合があれば遠慮なく相談に来てください。

以上