2023年度:問題分析ゼミ[5]

2023年度問題分析ゼミ第5回の議事録です。

日時:2023年5月23日(火)15:20-18:50
会場:リバティータワー1141教室
参加者:17名
江下、許田G(3名)、阿部G(5名)、内山G(4名)、福井G(5名)
欠席者:3名
遅刻者:1名
早退者:0名

1 グループ発表
(1)許田グループ(1班)
・発表者:石上
・課題本:柳下毅一郎『興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史』(2018)
・発表範囲:第8章『ウイリアム・キャッスルと付加価値商法』
【概要】
ウィリアム・キャッスルはギミックありきの映画形式を作り上げ、またインパクトのある宣伝を以て劇場に人を集める事に成功した。そして観客を呼び込む為にキャッスルが行った工夫は結果的に「観客参加型映画」の誕生に繋がるのである。

【質疑応答】
なし
【演習】
なし
【補足事項】
ギミック映画は映画の見世物としての原点であり映画史の基本である。物語を黙って消化するのは映画の誕生から少し後最初は興行師がやる色々な映像の仕掛けが幻竜であった。映画というのは画面に映っているのを見る時代があまりにも長く今後このような原点回帰が起こりうる可能性がある。

(2)福井グループ(4班)
・発表者:竹内
・課題本:ダニエル・バード『ビデオランド レンタルビデオともうひとつのアメリ
カ映画史』(2021)
・発表範囲:第2部『ビデオストアと映画文化のローカル化』の第5章『価値の配給』

【概要】
ビデオの配給業社について、大規模な配給業社は映画文化を消費文化として扱い、最新
のものに価値を見出すことで大量生産的な価値観を持っている。それに対して小規模の配給業社は映画を芸術として捉え、独自性を持つことで学問的な分野と共通する考えを持つ。ビデオ商品が安価なものとなってしまったことやインターネットの普及に伴いレンタルビデオの分野では変化が強いられている。

【質疑応答】
なし
【演習】
なし
【補足事項】
一般的な問題としてコンテンツのエコシステムをどうするか。ゲーム市場が充実するためには対策ゲームよりクソゲーが必要である。クソゲーがいっぱいあることによって子供にとってゲームの取っ掛かりの良さの幅が広がる。これを映画業界にも当てはまり、大作映画は映画界を盛り上げる役割を持つ一方でそうでない映画も市場を充実させるために必要。

(3)阿部グループ(2班)
・発表者:西薗
・課題本:稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形』(2022)
・発表範囲:第5章『無関心なお客様たち』

【概要】
新たな消費の形であるリキッド消費の高まりにより制作者側はビジネスを再考しなけれ
ばならない。映像を見ることはどんどん「楽」になり「場所的・時間的・物理的・金銭的
制約」が取り除かれた。

【質疑応答】
なし
【演習】
なし
【補足事項】
倍速視聴に対する素朴な疑問としてなぜ一時間の尺の映画を作らないのか。現在の映画やドラマの尺は明確で合理的な理由があるわけではない。だからこそ倍速視聴する層がいることを知ったうえで脚本などを一時間分の映画に合わせて作ればいいのではないか。

(4)内山グループ(3班)
・発表者:内山
・課題本:北野圭介『新版 ハリウッド100年史講義 夢の工場から夢の王国へ』(2017)
・発表範囲:第7章 『デジタル技術の浸透と地球規模の大域化』

【概要】
ハリウッドの映画は大域化し、多くの意味でダイナミックな流動状態に入った。映画作り
のベクトルや流通のネットワークは枝分かれし発展している。さらにデジタル技術が映像表現に取り込まれ、技法や物語なども多彩化していった。

【質疑応答】
なし
【演習】
なし
【補足事項】
ハリウッドは大作映画だけではない。大ヒットをもくろむ映画は10代をターゲット層に選ぶ傾向が高い。10代は適応能力が高く色々な国でヒットしやすい。そのジャンルとしては特にアドベンチャー作品である。メガピクチャーは様々な国で売れる映画を指し、韓国の映画市場はこれを目指している。一方ナショナル映画は国内で人気を目指す映画で日本のアニメ映画などが挙げられる。実験が出来る懐があるかどうかがコンテンツビジネスでは重要になってくる。

2 反省
時短の都合上どうしても質疑応答や議論が前回と比較して少なかった。

作成:小林
編集:阿部